昨年2018年のゴールデンウィークに、人生初のキャンプ登山に行った時の事を振り返ったものです。
山でキャンプ?
山形に生まれた時からアウトドアのような環境で育ったおかげで、キャンプと登山は、もう数え切れないほど行っている。加えてバイクツーリング、自転車ツーリングも長い間趣味だったから、軽量装備にもこだわりが強い。
でもまてよ、「キャンプ登山」となると実は一度も行ったことがない。なぜか?それは生まれ育った山形の山々は、避難小屋泊か営業小屋泊が一般的で、山でのキャンプ場がそもそも少ないから、小屋にしか泊まったことがなかった。だから山岳テントも買ったことがなかった。
ファストパックへの憧れ
そんな中、マラソンから波及してトレイルランニングにハマってみると、だんだんとUltra Light(UL)というものに興味を覚えるようになった。そもそもトレイルランニングの装備はULであり、その装備の延長線上にUL登山、ファストパック登山と呼ばれる超軽量装備登山という世界が存在していた。
そもそもランニングの延長で東京マラソンにたまたま受かってフルマラソンを走ってみたら、走ること自体の身体への好影響に感激し、ランニング雑誌を見ていたら、「走るならトレイルが良いな」と気軽に考えて走ってみたら、登山の魅力とランニングの魅力をいっぺんに楽しめるトレイルランニングに一瞬ではまってしまった。そして練習時にバーナーを持ってカップラーメンをつくったりしてUL装備による山行の面白さを知ったらいてもたってもいられなくなり、気が付いたらUltimateDirectionのFastPask30を購入していた。当時このULという世界はよくわからない世界だったけど、面白いものだという事だけは直感で分かっていた。
そうだバイクツーリングと同じじゃないか
今持っているアウトドア道具を改めて見てみた。それはほとんどが10代の中頃にバイクツーリングをするときにそろえた道具で、もう20年以上も使っていた。 しかしながら、当時流行っていたレーサーレプリカバイクの後部座席とタンクの上に括り付けるだけの道具に絞る必要があったから、テントはアルミでできたCAPTAIN STAG製の当時の最軽量モデルだった。バーナーはPRIMSの最も小さいモデル、コッヘルはEVERNEWのチタンコッヘル900ml。実は僕の装備はすでにULだった事に気が付いた。やはりそうか、そうだったんだ。ULはすでに僕のライフワークであったのだ。
重いキャンプ道具とサヨナラ
結婚してから、オートキャンプ場というところに子供を連れて行く事が増え、いわゆるファミリーキャンプ向けの道具を買いそろえた。コールマンの5人用テントとタープ、SNOWPEAKの焚火台、チェア、囲炉裏、コット、燻製機、BBQ台。子供が小さいときは全部を車に詰め込んで、思いっきりテント設営や料理、そして焚火を楽しんだ。でも今は子供も大きくなり、ほとんど焚火にしか注力しないしね、設営とか用意する時間があったら走りたいんだ。可能な限り少ない荷物で、可能な限り早くできる料理で、可能な限り早く設営できる道具が欲しいんだ。
収納場所を大量にとっていた事もあり、思い切って焚火道具以外のすべてを売却。これで心置きなくULテントや調理道具を購入できる! 置き場所も取らない!そもそもUL装備は背負うのが前提だから、そのまま災害時持ち出し袋の代わりになるのだ!
軽量装備に拘る
まずはテントです。ULに拘るからには、最軽量モデルと、最高にこだわった機能を持っているものを試してみるのが僕のやり方なので、まず最軽量のこちらを初めにチョイス。
これはトレランの国内最長レース、TJARで使用率が高い事で有名な、もっとも軽く、もっとも小さく、もっとも速く設営・撤収が可能なシェルターです。その緑色バージョンをゲットして今回使用してみました。わずか280g。軽量ペグ2本込み。ストック2本を内側にセットし、ペグを2本打ち付けるだけで自立する優れものです。しかしながら、透湿性のある素材ではない事や通気口がない事、シームテープもない事、そして見てわかるように完全なる1人用である事から荷物の置き場も極小で、テントの代わりとしては役に立ちそうにないのですが、最軽量を試して検証するという目的のために購入しました。
ファイントラック(finetrack) FAG0123 ツエルト2ロング MO(モス)
- 出版社/メーカー: ファイントラック(finetrack)
- メディア: その他
また、最高にこだわった機能を持っているモデルとしては、ファイントラックのツエルト2ロングの、同じく緑色バージョンをゲットしています。これは次回の息子とのキャンプ登山で使用しました。また、すでに書いた甲斐駒ヶ岳でも使いましたので、下記の記事も参考にしてみてください。これはシェルターの欠点を取り去ったテントの代わりにもなりえる優れものです!ファストパック用として強力にお勧めできます!
雲取山には3年前にSTY90kmの練習のために一度来たのですが、その時、石尾根縦走路の途中にある、この開放的で目の前に富士山が見える素敵なキャンプ場に来てみたい!とずっと思っていたのに、なんと小屋の老朽化に伴い2019年3月で閉鎖するというニュースが飛び込んできました。もう、行かないと一生後悔するだろう。だから即決しました。2018年のGW初日に決行する。そう決めました。
ここの魅力は電車で行けること。JR奥多摩駅を出発して石尾根に取付き、縦走して5時間ほどで、雲取山手前の奥多摩小屋キャンプ場に到着です!
見てください、この絶景。夕刻、テント場を全て回って一番いい場所から撮影しました。なだらかな奥多摩の稜線と積雪の富士山。だんだん紅色に染まる風景。一番いい場所にテントを張っていたカップルに声をかけてしばし歓談しながら時を待ち、紅色に染まってきたあたりからパチパチ撮影を開始。コーヒーやら肉野菜炒めやら頂きつついろんな話をしました。なんとなく共通点が多く気が合うカップルだなぁと思っていましたが、後日、僕が最初に入った会社に2人とも勤めている事が判明し、世の中の狭さを実感するとともに、山好きも多いなあと改めて思いました。
この日は予想以上に気温が上がり、約22度。もう暑いのなんの。奥多摩小屋ではビールを購入できると聞いていたので、さっそく購入して飲み干します。いやー、まだ4月下旬なのに、2,000m近い山の中でキンキンに冷えたビールを飲んでいるなんて幸せ~。この後、地面に大の字になって昼寝。そのあと雲取山山頂に空身で往復。最高ですね~。
夕食はUL的軽量装備のテストを兼ね、初のEVERNEW チタンアルコールストーブとSNOWPEAKチタンシュラカップでお湯を沸かし、アルファ米でアマノフーズ 親子丼をつくりました!食器はジップロック スクリューロック 473mlにUltraLunchの保温ケースThe Podとスノーピークチタン先割れスプーン。いやあ、こんなに軽量装備で何も問題ないどころか、アルコールストーブの火力と静寂な音に感激したし、親子丼をかけるとアルファ米でも美味しく食べられる事がわかり、Ziplockが最強だという事を実感しました。Sea To Summitの重くて折りたたみと洗浄が面倒な食器ってなんでしたっけ。。山行にジップロック程コスパ良く軽量なものはないですね。
ストックシェルターですが、これは本当に楽に設営できましたが、一方で175cmの僕では中に入って座る事すらできず、このようにはみ出しています。ほんとに寝るだけ仕様でした。
頭と足もシェルターの壁に当たるし、荷物を置くことができるのは両手と頭の周辺ぐらいで、UL装備でもギリギリですね。靴は入らなかったのでビニール袋に入れて外に置いておきました。
まあ、寝られる事だけはわかりました。しかし、雨が降ったらかなりキツイですねぇ。あくまでエマージェンシー、レースでだけ使用をお勧めします。
富士山の周りがどんどん紅色に染まります。
美しい木々。木々は地球の化身、神々の化身。両手を広げて何かを語りかけているように見えませんか?
稜線に日が沈んでいきます。今日もありがとう。また、明日会おう。
翌朝、シェルターをさくっと畳み、朝焼けの稜線を快適に進み雲取山山頂へ。
雲取山山頂手前からの絶景。このパノラマ感、東京都とは思えない、素晴らしい空気です。
山頂の岩陰で、風をよけてアルコールバーナーでお湯を沸かし、お湯を入れて2分!UltraLunchのビバークレーション・トマトキック味!冷める前に食べられてすごくいい!スパイスは元から結構効いていますが、スパイス好きなので、一味唐辛子、花椒、コリアンダー、ガーリック粉末を投入して、辛口トマトキックに!頂きます!今度はオレガノも入れたらもっとガツンときそう!!
雲取山を超えると、一気に風景が変わり、秩父路らしくなってきた。ここから先は初めてのルート。
沢山の藻がついた倒木。風情があります。
途中、がけっぷちが多く、絶景が広がる。修験道らしい風景を楽しめます。
三峰神社奥宮は実にハードな修験道。その入り口の鳥居は実に渋い。
奥宮への道は、実にハードで、朽ち果てた橋などを超えて、最後は階段さえもなくなり岩場を鎖を頼りに登り上げます!こんなの見たことないかも。
奥宮からは信じられない絶壁が広がります。
下りも怖いですが、登山者はかなりいました。落ちたりする人いそうなレベルだけど、まあ、途中で止まるかも。
三峰神社にゴール!駐車場から見える山々の稜線は、先ほど超えてきた山々で、実に美しく良い眺めです。
11時過ぎのバスに乗って帰宅しましたが、対向車線はご覧のように駐車場に入れない車が、1車線の道に3,000台ぐらいは止まっていました。人気あり過ぎて、駐車場が不足しているけど特に規制も案内もしていないし、ロープウェイも廃止しちゃったから致し方無いんでしょうけど、もう少し駐車場を増やしてもいいのではないかな。この後、毎月1日に配布する白い気守りの配布を辞めたそうです。
という事で、無事に西部秩父駅に到着して、新しくエキナカに出来た祭りの湯を堪能して帰宅しました。
2020/1/13追記:
今回紹介した軽量グッズは、フィッティングが重要になるので、実物を見ることも重要です。オンラインストアだとそのあたりが口コミに頼るしかないところが大きいですが、やはり定期的にお店には通いたいところですね。私は御徒町OD-BOXとお茶の水&池袋L-Breathが軽量ヲタクとしてはお気に入りです。L-Breathの品揃えの事前確認と店舗に在庫がないときの購入には、オンラインストアが使えます。値段は大体同じですね。