お腹を満たし、 整体も受けた。そして僕のスペシャル補給食、井村屋のつぶあんトッピングが終わったので、代わりにより甘くてコクがある安納芋あんトッピングを投入。これね、羊羹特有の手が汚れる事もなく、少しだけ食べたいときにも片手の感触だけで調整できるし、キャップを閉めてポケットに戻せばOKだからスピードも速く、何よりスーパーで198円程度で購入できてコストパフォーマンスも高い。最高の補給食なのであります。ちなみにamazonで買うとき1本とかだと高値で売っている事があるので注意してください。下記のように6本セット以上だと比較的安価に購入できますから、ちゃんと単価みて購入してくださいね!
そして、元気にA5を出て暗闇のゲレンデに飛び出した。あと30km。歩いてでもいける!気持ちは結構上向きになっていた。
ほとんどの選手がストックを使用している。なぜなら ここA5からはストックが使えるのだ。 みんなストックさばきがとても上手い。 こんなに上手い人だらけの大会は出た事ないです。それ程、 中級者は僕だけか?と、少し不安になる。 大抵自分よりもスキルの低い人がいるはずだけど、 このレースでは1人も見ていない。 でもだからこそ泥のヌタヌタ路とかでも全く渋滞するそぶりもなけ れば、実際に渋滞はほぼなかった。
しかし、程なくして直ぐにヌタヌタ路の壁が現れた。 その斜度はキツく、ストックは全く役に立たない。いやー、 攻め込まれますね、身体にも心にも。 さっきのやる気を根こそぎ削いでくれる登り。 きっとストックを持っている人にとってはなおさら辛いだろう。 僕は膝押しの人なのでマイペースで進んだけど、上に着いたら、 今度は地味に斜度がキツいシングルトラックの下り。 ここで早くも下半身に違和感を覚え、 カモシカステップの競歩で行くと決めて真っ暗闇を一人旅。 この頃には120の速い人が続々と後ろから走って来て追い抜かれ る。早めに避けて「どうぞ〜」って声をかけると、「ありがとう」 と言う人はもちろん多いのですが、「まだまだ行けるよ〜」 と言ってくれる人が多く、すごく励みになりました。 この時は何で多いのかな?ぐらいにしか思っていなかったけど、 今にして思えば、 あと30kmも苦行が続くのにストックも持たずに歩いている人を 追い抜く時、僕でもそう言うかもしれないな。 そうでないと次のA6でのリタイヤポイントに吸い込まれる可能性 が高い。行ける!という強い意志が必要だったんだ。たぶん、 すでに70km程走って来ている120の人達は自分にも言い聞か せていたんだろうな。
長い長いシングルトラックを我慢して下ると、 まもなく県道に出た。 この舗装路は少しでも走って時間を稼ぎたい。でも、 ストライドを伸ばすと違和感を覚えていて、 結構痛いと思うようになっていた。 腰をローリングさせるだけでもかなり痛い。 その辺りの筋肉が疲労しすぎていて、 もはやどこがどう痛いのか分からない状態だったけど、 ローリングせずに最小ピッチでの走行なら痛くないことが分かった ので、小股で黙々と走る。たぶん競歩歩きより遅いぐらいの、 走るシケイン状態だった。 舗装路ではさっきのシングルトラックの比ではないスピードで12 0の人たちに抜かれる。 僕よりずっと長く走って来たのにすごいなぁ。感心して、 羨ましくて仕方がなかったが、僕は今できることに集中した。 これでも走れている。僕はすごい。自分で自分に言い聞かせたよ。
その後はゆるい登りを足が痛いまま騙し騙し進み、 最後のエイドステーションA6になんとかたどり着いた。もう、 何を食べたらいいか言葉が出ないでボーッとしていると、 エイドを運営している前橋トレラン部の年配の女性の方々が、「はい!手作りスープをどうぞ!」 と強制的に手渡ししてくれた。これは非常に美味しかった。 優しいイタリアンなフィジッリ入りのポトフスープ! こう言うのが食べたかったんですよ! しかも僕の大好きなイタリアン。しかもフィジッリはショートパスタの中で一番好きなタイプ。エイド到着時には食べる気力はあまりなかったんですが、 椅子に腰掛けてストーブにあたりながらあったかいスープをゆっくり食べていたら、 食欲が少し出て来た。ゆっくり休めば行ける気になって来た。 フラット路に見えるけど、 アップダウンの繰り返しだとブリーフィングで言われていたのが気 になるが、もうゲレンデ登り降りは無いはず! そう言い聞かせて行く事を決めた。そして、オレンジとか水とか補給して、大好きなエネ餅クルミ味も食べて、Vespa Hyperも投入して出発を決めたんだ。

ディチェコ パスタ No34 フスィリ 500g 【並行輸入品】
- 出版社/メーカー: 春日商会
- メディア: 食品&飲料
僕はこれを愛用しています。500gは酒のやまやでも売っています。スーパーより格安に購入できます。
実はその椅子には寒さで震えながらストーブにあたり、 回収の車を待っている人が何人もいて、車が到着すると皆、 助かった〜という表情で乗り込んで行く様を見て、ああ、 僕も今すぐこれに乗ってこの辛い修行を終わらせる事が出来るんだなあという光景 を眺めていて、すごく心が動いていたんだ。 だって僕の下半身の筋肉は、もう僕のものでは無い感覚だった。 ストックを使って攻略して行く人々の後ろ姿をたくさん見て、 背負って行くのが重いからとストックを置いて来た自分の浅はかな 考えを悔やんでいた。なんて馬鹿な判断をしたんだ。僕の上半身は、まだ筋肉が有り余っているというのに!!
でも、このスープを食べて彩の国100kの時の事を思い出したんだ。 それは食べられる幸せ。 スープの旨みで凄いパワーが充填される事。 食べることができている間は体幹が使える。だから完走できる! 僕はそれで実際に彩の国の108kmを完走できた!その時、終わった身体は復活して走れるまでに回復したんだ。それにあとたった22km行けば、 夢だったUTMF出場に必要な12Pが貯まるんだ。 たった22km!いままでそのために何百キロ走ってきたことか!這ってでも行くべき!!リタイヤなんて考えられない!
この最悪の状況からもしゴールする事ができたら、僕は また一歩成長できる予感がしていた。うん、僕の直感は結構当たるんだよね。 その成長はUTMF170km完走にも必ず役に立つはずだ。何があっても必ず完走する!そう心に決めて僕は、暗い森の中に足を進めた。 元気はあまりなかったが気力はあった。
しかし、その道のりは、 まったく這ってなど行けない道のりであった。。
ラストの22kmを進みます。⑥へ続く。