W2では、もう笑顔をつくる元気がなかったんです。そしてこのブルーシートに突っ伏してぶっ倒れました。Water Stationというのは本当に水とアクエリアスぐらいしかなく、自分の補給食を食べます。とりあえずエネ餅はうまい。これはいけてる。最高の和食。最高のお気に入り。これのおかげで胃腸が調子いい。
Enemoti (エネもち) クルミ餅 8本入り 【補給食説明書付】
- 出版社/メーカー: 株式会社 天狗堂宝船
- メディア: ヘルスケア&ケア用品
この後、キツイ急登が2段階でやってくるオグナホタカスキー場は、今回のハイライト。ここを超えられればゴールが見えてくる。まずいけど効果があるVespa Hyperを一袋入れて登りに取り付く。ひたすら林道。原則早歩きで黙々と進む。木々が生い茂っているため、16時過ぎにはもう暗くなってきていた。すでにハンドライトはポケットに準備していたが、なんとなく、この夕暮れの時間が好きで、ライトを点けずに進んだ。木々の間から薄暗い光を浴びた美しい林道をヒタヒタと歩く。なんと贅沢な時間なんだろう。そんな事をかみしめながら歩くが、行けども行けどもスキー場にはたどり着かない。そのうち本当に暗くなってきた。そう言えば誰も後ろから来ないけど道間違ってない?そう思っていたら後ろに小さな光が見えた。少し霧も出てきた。ライトをつけよう。しばらく行くと広場に出た!スキー場だ。霧に包まれた右斜め上に見えたのは、広大なスキー場の真ん中にあるコンクリートのダブルトラックだった。霧の暗闇にはLEDライトが設置してある。ほんの500m程上の頂上にその灯りが煌々と灯っていた。おー、近い、楽勝だな!と、道が見えないので登ってみると、それはただの目印のLEDだった。急坂と平地を小刻みに繰り返しながらひたすら登る。霧が濃いのでハンドライトのみで進む。登っても登っても頂上は見えない。もういいよ。。
そう心が折れかけながらもひたすら登った先にあった、霧の左側に向かう矢印。 その先は崖の下りっぽかったが、暗くてよく見えなかった。 なので、ここでメインのヘッドライトを装着。少し休もうと思っていたが、 風が強くて寒かったのですぐに下山開始。 そこはまたしてもゲレンデ激下りであった。 しかも狭くて草が生えていて溝もありズルズルと滑る最悪路面。 この体力と精神力の時にただただこたえる。 最小な小刻みステップで転倒しないことを最優先に、 ひたすら降りる。足の爪も痛いけど、膝も痛いけど我慢。 ここを下ればA5エイドステーションにたどり着ける。 そこまで行けば何とかなる。やっとのことでゲレンデを降りると、 あと1kmでーす!との声。マーシャルお疲れ様です。こんな暗くて辛い人しかやってこない真っ暗なゲレンデの真ん中で声掛けしている方に、ただただ尊敬の念を抱くばかりです。ありがとうございます。今回のレースで、自然と「ありがとうございます!」と声が出るようになった。本当にありがたいから、たぶん、心の底からそう言いたかっただけなんだろう。そんな事を考えつつ、ゲレンデのダブルトラックに出た。でも灯りは見えない。 砂利のダブルトラックをソロソロと走っていると前からクルマが来 た。ああ、応援ですね。有難い!こちらの方にも会釈をして、こちらも気合が入る。ああ、コースがあっているというだけでなんだかうれしい。それぐらい、何か、異次元の世界を走ってしまっているような錯覚を覚え、通常状態ではない精神状態にあったんだと思います。
ゆっくりゲレンデを走っていると5人ぐらいの集団になった。もう、 みんなフラフラだ。1kmと言われた割には長いジープロードを走り、そして再びゲレンデに誘導され、 パイロンの左側を通ってくださーい!といわれ、ハイハイ左ね、 と言いながら走っていたのだけれども、なぜか右側を通ってしまった僕。 あれ?おかしいな。でもね、次のパイロンも右側を行こうとしていた僕の足。 左って言ったよね?と顔を左に振ると何かおかしい。 体幹が反応しないんだ。足が反応せず、 軌道を修正することが出来ない。一瞬クラっと来た。ああ、ヤバい! これはハンガーノックだ!そして骨盤もおかしい。なにもこんな場面でならなくてもいいじゃないか。 そういえばジェル補給してないな。でももうなっちゃったからたぶんすぐには治らないよ。でもね、ここで足を止めたくないんだよ、 いまゲレンデを一所懸命に降りている最中だし、目の前がエイドステーションだし! ほら明かりが見えている!止まったら転ぶかもしれないし! だからね、自然と上半身を左に傾けて変な格好だけど左に軌道を修正しつつ、 「ヤバイヤバイ!!」と大声を出して、 いざという時に倒れてしまったら周りの誰かに支えてもらおうと考えながら、 ロボットみたいな走りで何とか下りきった!!! 大勢のサポーターに出迎えられてアドレナリンが流れて、 そのままエイドステーションに駆け込むことが出来た。いやー、 ほんとに助かった。ものすごい疲労感と同時に高揚感。 これはなんだ。 もうゴールしたかのような達成感に満ち溢れていた。 ここまで45km。でももう80kmぐらい走った感じ。ああ、あれだよ、UTMFの2014年の最終ゴール者のシーンを思い出した。体が大きく曲がってしまったけど頑張ってゴールしたシーン。もう感動的。でもね、まだゴールじゃないんですよね。まだ45km。え!たった45km。。。あと30kmもあるのか。マジか。
そんな打ちひしがれる僕を待っていたのは、それは素晴らしいA5の豪華な食事! ここは120km選手のためのドロップザック受け取りができる大きなポイントと いう事もありますが、 ここからナイトセクションに入る前の重要な補給地点。 そこで振舞われていたのは、カレーにカップラ、 ケチャップ取り放題の茹でたソーセージ、それに塩羊羹。 しかもカレーは地元片品産の野菜を使ったものだと言う事を後で知 ったけど、もう何も言わなくてもメチャクチャ美味しかった! 人生初のトレラン中のカレーは間違いなく美味しかった!見てください、この表情は、もう終わった!と思っている中で、カレーをもらって回復する過程のプチ笑顔です。自分でもよくわからないけど、すごくうれしかったんですよ。
うますぎるソーセージwithトマトケチャップと、カップラーメンも。いや、ほんとに、これは僕が好きな最強コンビです。ソーセージはたぶん日本ハムのシャウエッセンかな?しょっぱいケチャップはカゴメのノーマルですよね?もしかしたらハインツ?カップラーメンは、無印良品のチキンラーメンかな?まあ、いずれも塩気が好みの味で、かなり体力、特に心が満たされました!すごいね!こんなに充実したエイドは5年のトレランレース歴の中で初めてです。今まで、NPOトレニックワールドのエイドが最高に好みでしたが、上州武尊山もなかなかやりますねぇ。何度も言ってすいませんが、本当に最高でした。
この、カレーも最高だったんです。これはお代わりしました!あ、ソーセージもお代わりしました!カレーはね、あとでネット見たら、片品山特製野菜を使ったカレーだったそうですが、本当においしすぎて、実はもう一杯お代わりしようかと本気で思っていたんですが、食べすぎるとそのあと走るのに影響するのでぐっとこらえてやめたんです。でも、今思えば、食べてもよかったかもしれません。それぐらい、このカレーを食べるために走るぐらい価値があります!絶対来年も食べたいです!!
身も心も満たされたのですが、腰の調子は悪かったです。それに腰の動きが悪すぎて歩くのも辛いぐらい。たぶん今までで最低。 そこで、奥に行ったところにあった無料整体に申し込んだ。 そこでは少し揉んでもらっただけなのにすこぶる気持ちよく、 回復した気になった!走れる気がしたんだよね、この時は。しかし痛いのなんの、悲鳴を上げ続ける僕。。。うるさくてすいませんでした(笑)
ここまで45km。残りあと30km程。意外とあるなぁ。関門時間には3時間ほど余裕があったので、そのあと、ブルーシートにぶっ倒れてしばし休憩しました。もう、1日徹夜して走って70kmも走っちゃった!もう一晩どうしよう!そんな感じの疲労感でした。ああ、ほんとにどうしよう。行けるかな?あと30km。本当にフラット路なのかなぁ。
⑤に続く。。。。。
上州武尊山スカイビュートレイルの先頭記事はこちら。