たりぃさんの山旅

山旅を愛するたりぃさんが超軽量の道具とITガジェットを使って奥深い山域を旅します。

UTMF2019走ってきました

一昨日UTMFが終わり、清々しい気持ちでこれを書いています。でも、走った後はいろんなモヤモヤがあったので、気持ちの整理をしてから書くことにしました。その原因はやはり165km走れなかった事によるストレスから来るものだろうと思います。一言で言うなら不完全燃焼。

今回のUTMFは2月中旬の2次予選当選から準備したけれども、ある程度当選を予測していたから緩く準備をしていて、走力はほぼ完璧に仕上がっていた。そしてレース運びも体調も悪くなかった。でも、晴れの天気予報であったのに、4年前のSTY同様、富士山は一度も顔を見せてくれることはなく、霧と泥と渋滞の中を耐えながら進み、晴れた絶景富士山を待ち望んでいたけれども、66km進んだA3本栖湖エイドで関門に5分まに合わずリタイヤした。そして、リタイヤして回収バスに乗って出発した瞬間に綺麗な富士山が顔を出した。そりゃないよ~。もう少し早く顔を出してもらわないと! 

https://www.instagram.com/p/Bw03-qOgOps/

Only 66km mud race but have a lot of fun! #utmf #utmf2019 on instagram

この写真は本来なら3日目、日曜日の朝の富士山です。河口湖駅からの眺め。下まで真っ白に積もっていました。中止の判断は正解でしたね。

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UTMF Registration and EXPO
富士山子供の国にツアーバスで9時前に着いた。そのときは雨が結構降っていた。相変わらずわかりにくい受付と装備品チェック(これは知力およびICT能力が試されているんだと思っている)をテキパキと済ませ、まだ20人ほどの待ち行列だったトイレを先に済ませ、ドロップザックを預けてから、お目当てのEXPOショップ、la sportivaへGo!

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今回は最新の靴のみ展示販売でしたが、だいぶ古くなった私のUltra RuptorのYellow43が無いかどうか尋ねてみたら、もう日本ではBlackしか扱っていないとの事。でもGlobalではまだ売っているらしいから、ネットで買おうかなと思う。やっぱりYellowが好きなんですよ。この靴最高です。

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レース後に早速サンダル履きました

それから前から欲しかったいかにもla sportivaらしいデザインのサンダルをゲット。表が固めの革で、裏がロッククライミングでも使用する素材を使っているサンダルで非常に歩きやすい。これがUTMF特価で売っていたので即決。これを荷物預けのザックに仕舞い、そのまま荷物を預けて準備完了。この時点で10時半。まだスタートまで1時間半もあり、身体が冷えそうだったので待合用テントのわずかな隙間に入って立ち、雨風をしのぐ。今年は外国人、特に中国人が多いですね。日本人は大体半分ぐらいかな。

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腕に固定式ベルトが巻かれる

今年はこの腕ベルトを固定されました。身代わりの術防止策かな?

Garmin Vivosmart HRJを2年以上愛用していてボロボロですが、バッテリーはまだまだ元気なんですよね。ちなみに今回は出走の朝まで充電して、レースで18時間半使っても1/3ぐらいバッテリーが残っていました。おそらく30時間近くは持ったのではないでしょうか。今回はA4精進湖民宿村での休憩時に充電しようと考えていました。さらに、常時点灯式で横長なので、非常にフォントが大きく瞬時に確認する事ができ、スワイプ操作も快適そのもの。これ以上素晴らしい使い心地のデバイスはあるのでしょうか?Vivosmart 3も4も常時点灯でないし、ディスプレイ小さいし、vivomoveも同様。代替品にはならないのです。もうvivosmart hrjは販売終了してしまっているけど、なくなる前に値上がりしてしまっている在庫品をもう一つ購入しておこうか迷っています。ここまで待ったけど代替品が出なかったから。vivosmart hrj+は微妙に分厚く、ベルトも流用できない偽物なんですよねぇ。GPS機能はバッテリー大食いだから要らないし。

2019/9/29追記:vivosmart HRJの在庫がなくてどうしようかな~と思っていたら、GPSセンサーを外付け利用するvivomove 3/style/luxuが出ます!!常時点灯式じゃないけどかっこいいからこれにする!!

10/9予約開始、10/16発売です!

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巨大なやまつみ!

これはよくできています。これを見ると、一発でどのあたりがつらいのか把握できます。やはり天子山地はすごいですね。

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シトロエンC4が展示

フランスのシトロエンもなぜかスポンサー。グッズを販売していました。UltraTrailといえばUTMB。だからフランス車なのかな?私としては来年はプジョーだといいなぁと妄想。同じ会社だしね。ぜひぜひ。

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UTMFスタート!
こどもの国をスタートする時には雨が上がり、予報ではこの後晴れてくるらしい。ギリギリ5分前に応援に来てくれたヒロさん夫婦に見送ってもらい、やっぱりテンション上がって気持ちよくスタート。ほぼ最後尾付近をゆっくり進む。この時、2015年STYのスタートの時の壮大な音楽と違う、新しい落ち着いたテーマソングで、ちょっとがっかりしたのだけれども、テンション上がりすぎなくて、これはこれで良いのかもしれません。下記は2018年のものですけど今回と同じテーマ曲です。2012年からのDVDハイライト動画付きなので、DVD買っていない人はぜひクリック見てください。

www.youtube.comでも聞きたかったですよ、これ↓

「あーーーーあーーあーーあーーーーーあーーーーあーーーー、あーあーあーあ――――――――あーーあ―あーーーーーーーあーーーーーーーーーーー!」

www.youtube.com

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渋滞その1

大渋滞が発生
ところがわずか5km進んだ林道で大渋滞が発生。30分近くたってやっと通過してみると、原因は大きな水たまり。。おいおい、それぐらい走っていけよ。正直そう思った。トレラン大会なんだから靴が濡れる心配とかしても無駄でしょ。でも下位集団はそのように考える事がある人が多いが、このUTMFは特に多い。参加者が多い弊害だろうか。その後も3度もシングルトラックに入る度に渋滞し、合計2時間ぐらいロスト。でもこの後は天子山地だし、山岳地帯は得意だからまだ余裕だよね、とこの時は考えていた。

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渋滞その2

この最初の林道では、左右バランスよく足を運ぶリハビリランをしてウオーミングアップする、という目的があった。完治したと思っていた左足のイボが完治しておらず、この足を無意識にかばってしまって右足を酷使し、結果として故障する事がわかったから、その調整ランとして最初の20kmを使うと決めていた。その甲斐があって、W粟倉を過ぎ、A1富士宮にたどり着いたとき、僕の両足はほぼ完全な状態で、ここ数年来なかったぐらいに調子よく走れていた。

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渋滞その3

しかし、富士宮名物の焼きそばはA1富士宮にはなく、次のA2麓にあると言う。次のエイドを目指して俄然力が入る。僕は焼きそばが食べたいんだ。わかりますか?このモチベーション。私は食う寝る遊ぶを地で行く人間なのだ。走った後の麺類がおいしくないわけがない。しかも富士宮焼きそばは、一度出張時に本場(※)で食べたことがあるが、ダシ粉がたっぷり振りかけられていて実においしいんだ。ああ、よだれが出てきたよ。早く食べたい!!だから走る!!!(※行ったのは潤井川のたもとにある”うるおいてい”です)

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天使が岳登山道入り口前のロード

いざ天子山地へ
試走をした得意の天子山地へ向かって、しばらく濃霧の中のロードを走り、日が落ちて真っ暗になりつつある中、ヘッドライトを装着し、泥で登りにくいシングルトラックつづら折りをほぼノンストップで登り上げ、渋滞の遅れを取り戻した。天使が岳から熊森山への長い縦走路でも、得意の泥路面の下りをカモシカステップで楽に通り抜け、約50人程追い越した。これで2時間は麓で休憩できる計算だった。

ところが熊森山を右折して降りになった瞬間から大渋滞で一歩も進めなくなった。一体何があったのか。しかも斜面の下からとんでもない冷気が吹き上がってくる。体感温度は氷点下並み。ドライレイヤーもゴアテックスも装着して汗冷え対策はしているが、そういうレベルでは全く太刀打ちできる寒さではない、真冬の稜線上のような寒さを感じる。普通の人より手足が冷たくなる僕は、瞬時に危険を感じて、持っているものを全て素早く着込んだ。フリースベスト、ダウンジャケット、レインウェアとレインパンツ。それでも寒くてたまらない。そうしているうちに足が震えだした。手も震えているかな?と確かめようとグーを握ってみたら指が90度までしか曲がらず半分しか握れなくなっていた。そして痺れが来ていて感触が弱くなっている事がわかった。これは命が危ないレベルではないのか?今まで経験したことがない事態に遭遇し頭を急回転させて考えた。ここから富士宮に引き返すわけにもいかない。少し山頂に登り返して熊森山より先に行けば試走の時に通ったトンネル上に出る道がある事を知っていたが、コースから外れれば失格になるし、何よりあの崩れやすい斜面は晴れていても危険な道だ。そして仮にビバークをしてもこの寒さに耐えられる自信がない。何よりバーナーを持っていないから暖かいものを補給できない。そう思ったからその場に留まるしかなく、僕はその場で屈伸運動と手をグーパーグーパーさせる運動を何度も何度も繰り返した。動けば熱を発せられる。そのためにもジェルも掻き込んだ。どんな時も冷静に写真を撮る事をモットーにしている僕だけれども、この時は全く写真を撮る時間が取れなかった。とにかく寒さに耐え続けて牛歩の歩みで30分は過ごしただろうか、なんと渋滞の原因はツルツルの下りだった。。このぐらいの急な斜度であれば、滑り台方式(※Facebookで大原さんにキャッチ―な名称頂きました)でお尻で下るのが適切なんだけど、みんな足で踏ん張ろうとして悲鳴を上げて派手にずっこけてしまっている。これ、みんな知らないんですね。お尻で下るコースはおかしい、とか言っている人がSNS上に多くてびっくり。子供の時にお尻で土手を滑って遊ばなかったのかな?足ではスリップする斜面を下った事ないのかな?!足と尻と両手を使えば、その分路面との接地面積が増えてゆっくり安全に下れます。足二本の接地面積でなんか下れるわけがないのです。悲鳴を上げても路面はグリップするようにはならないのです。ぼーっと生きてんじゃねーよ!ってチコちゃんに叱られますよ。 

しゃきっとコーラ味、結構おいしいです。気合入ります。

閑話休題

その斜面を通過した後は難なく下りを走って。。。だと良かったのですが、その後も2度も渋滞があり、どのぐらい時間かかったのか覚えていないけど、やっとロードに降りたとき、関門まで、もはや1時間ちょっとしか時間が残っていなかった。まさかの下りでの渋滞ロスト。そして低体温症の危険。それでも下りのロードを歩かずにひたすら走った。でも僕、本当にロードは苦手なのです。下りは特に苦手。まだ40kmぐらいしか来てないから、ここでぶっ飛ばしても足が終わるだけだから、温存モードで、足に負担がかからないようにピッチ走法で下っていると、先ほど登りと尾根道で抜いた人々に続々と抜かれ続け、20人ぐらいに抜かれました。それに先ほどの強烈な寒さのせいか、ジェルの味が半分ぐらいしか感じる事ができず、水を飲むと歯に軽い痛みが走る。知覚過敏になりかかっている。ちょっと想定外の出来事だった。ロードから左折して林道に入るとなぜか走れなくなり、速足で歩いて進んだ。なんで走れなかったのか。おそらく、食べ物がおいしいと思わなかったから力が入らなかったのだろう。それに周りも歩いている。これは良くないシチュエーションだった。わかっていたけど走れなかった。

そして、なんとか関門25分前の1:05にA2麓に到着!すぐに「焼きソバはどこですか?」と聞くと「売り切れで〜す」だって。。。正直そりゃないよね。関門に間に合っているのに売り切れってさあ。さっきからずっとパンしか食べてなく、全くテンションが上がらない。もうパンは要らないんだ!しかも菓子パンは好きじゃない。そんな気持ちで食べるパンがおいしいわけがなく、でも暖かい味噌汁をもらって、菓子パンを味噌汁に浸して食べた。すごい組み合わせだけど仕方がない。暖かいから、とりあえずね。とにかく寒いから味噌汁をお替り。一回目はわかめの味噌汁、二回目は油揚げにしたけど、油揚げが少なかったな。次回はアマノフーズの味噌汁を持参しようかな。やっぱりナスでしょ、お味噌汁は。

ここではわずかに20分休憩し、関門5分前に泣く泣く出発した。

A3本栖湖東海自然歩道を進む
モチベーションはあまりなかったけれども、竜ヶ岳は試走してイメージができている。問題はその手前の東海自然歩道。これは歩道という名前がついているのがおかしいぐらいの逆バンクがついてる、泥団子の素晴らしい道。この眠い夜中に泥だらけで冷え切った身体だが、一瞬たりとも気が抜けない。田んぼのうね道を走っているかの如く、田んぼに落ちてはいけないから着地地点を選び、そこが緩かったら瞬時に足を踏みかえる。その時泥団子が深いと足が引っ張られるから、そうなったときのリカバリ体幹を使って瞬時に判断してバランスを保つ必要がある。そして霧が出ているからヘッドライトが乱反射して見にくい。ハンドライトだけが頼りだ。雨はますます強くなっていたから、フードをかぶって走らなければならず、カサカサ気になるし周囲の音も聞こえない。

ああ!そんな時、踏みかえた足が抜けなくて一瞬踏み替えが遅れた。そしてバランスを崩して右側の田んぼの方に傾いてしまった。「これは!」瞬時にそこにあった白いロープを掴むと激痛が走る!!「痛い!」 なぜならこれはロープではなく、高圧の電流が流れる獣害対策用の柵だったのだ。これは知らなかったから一瞬驚いた。思いっきり握らなくて助かったよ。

その後、頑張って走っていると前方からリタイヤするために引き返してくる人とたくさんすれ違う。それぐらい、もう駄目だと弱音を吐いてしまいそうな過酷な道をひたすら進む。雨は少し上がってきていたかな。

竜ヶ岳への登り
なんとか誘導員が立っている曲がり角に出た。これから竜ヶ岳の登りが始まると告げられる。そこでもリタイヤを申告する人が続出。僕は公衆トイレで用事を済ませると、うなだれている人、寝ている人、リタイヤしたいけど自走でA2麓へ戻るかA3本栖湖まで行くかの選択が両方できずに途方に暮れて座り込んでいる人などがいて、モチベーションが上がりにくいシチュエーションだったのだけれども、僕には完走という目標があるし、遅れを取り戻してエイドで暖かい食べ物を食べて仮眠したい欲求が強かったから元気よく進んだ。A3本栖湖ではゆば丼があるんだよね。あるかな?あるよね!そんなポジティブな妄想を掻き立てて足を進めた。ゆば丼!ゆば丼!!ゆば丼!!!ゆば丼最高!!!!

 

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竜ヶ岳山頂。本当はここに絶景富士山が見えるはず。

竜ヶ岳への登りには暗いうちに取りついたが簡単ではなく、むしろ天使が岳への登りよりも辛い道のりだった。おまけに雨も強い。あまりに眠くて途中で木に手をついたまま寝た。30秒ほど目をつむり再度足を進める。しばらく行くとまた睡魔がフラっとやってきた。雨も降って寒いけれども、大きな石を見つけて腰を下ろして休んだ。目をつむり約3分間。深呼吸しながら眠る。これですっきりするんだ。特別なアミノ酸TOP SPEEDを飲んで気合を入れる。よし、登るぞ。カフェイン入りのMag-on(マグオン) エナジージェル ピンクグレープフルーツ味も飲んだ。よし、行けるぞ。
生い茂る木々の中を登るに従い、泥団子と階段が多くなり、ストライドを長くとって体幹を保ち勢いをつけないと登れない高さになり、ずっとそれが続くようになってきた。もうすぐ山頂なのか、木々が低くなってきたけど、まだまだ到着しない。空が明けてきたが、代わりにガスがすごくて視界はない。修行にしては出来すぎなぐらいに段差と泥がすごい。もうおなか一杯ですよ。。修行にだって終わりはあるんだろう?へこたれそうになったとき、階段が終わり、低い笹薮の道に出た。まだ上るが山頂は近い。
そして山頂。見覚えはあるが、眺望は一切なく、強風にさらされて極寒だった。

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泥団子轍祭り。。。

竜ヶ岳の稜線を下り本栖湖畔へ
早々に山頂を立ち去り、尾根道を走ろうと思ったら、ものすごい泥団子轍祭り。。。それにおののいて立ち止まっている人々を横目に、「まっすぐ行くだけですよ、行けますよ」と声をかけながら、まっすぐ深い泥団子上の足跡に着地し、カモシカステップでガンガン下った。途中、緩い泥団子に足を取られて2度も横転したが、いずれも緩い泥団子がクッションの役割を果たしてくれて事なきを得た。だが、この狭い登山道、追い抜くのも一苦労だし、走る事ができない。速度つけるとすぐに滑って転んでしまう。でももうすぐ6時。A3本栖湖関門は6:20。途中でマーシャルに「下に降りてからロード何キロですか?」と尋ねると「3kmです」との事。もし6:00に下に降りたとしてあと20分。キロ6分半で行けば間に合う。そうだ、まだ間に合うんだ。転ばずに、しかし慎重に飛ばし、先行者をパスして下のロードに出た。時刻は6:03。関門まであと17分。そのためにはキロ5分半で走る必要があった。それはハーフマラソン出場時であればそんなに難しいペースではないが、今はトレランの荷物を背負い、眠くて疲れて足は泥まみれだ。でもそんなの関係ない。僕は間に合う事しか考えていない。諦めるという言葉は僕の辞書には登録されていないんだ。すぐに回りの人々に「まだ間に合いますよ!一緒に行きましょう!」と声をかけ、一緒にスパートする仲間を誘い、集団を形成して追い上げた。みんな僕より速くて先行するが、ペースメーカーとして僕を引っ張ってくれている。ありがたい。日が昇って暑くなってきていたが、フリースとダウンをまだ着用していた。でももう脱ぐ時間がない。暑いけどあと17分の我慢だ。フロントのジッパーを開けて構わず走る!暑いけど走る!!絶対に間に合う!!!
しかしA3本栖湖エイドは遠かった。まだ対岸に見える。あと3分。あと500mなら間に合うのだけれども、どう見ても500mには見えない。でもさっき声をかけた緑色ジャケットの長身の彼も前を疾走している。僕もまだあきらめない。勝っても負けてもあと3分!!全力を出し切る!!!しかし「あー!遠い!!」と思わず叫んでしまった。その時、時刻は6:19。そのあとはもう時計を見なかった。いや、見る事ができなかった。受け入れがたいこの事実に正面から向き合えなかった。今すぐにドラえもんを呼び、タンマウオッチを出してもらいたかった。それでも僕は、間に合う!間に合う!!間に合う!!!と呪文のように心で繰り返しながら全力で走った。

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A3本栖湖エイド。5分オーバーで関門アウト。

なぜか笑顔だった。だってすべてを出し切ったし、もう日が昇って暖かかったし、エイド前では石川弘樹さんが迎えてくれた。TVで見るより実物は超さわやかでかっこいい。体幹が半端なく歩き方が綺麗。男でも惚れてしまいそうだ。そんな彼にお疲れ様って言ってもらえて、ああ、走ってよかったなって思ったんだ。石川さんが「夜のこの時間が楽しいんだよね。いろんなこと忘れてさ、集中できるのがいいんだよね。だから楽しいんだよね。」とUTMF2014DVDで言っていたのを聞いて、僕はその楽しいUTMFを走ってみたいと思ったんだ。そして本当に走ってよかったなとこの時実感したんだ。

この後、彼は車に乗って奥様と共にエイドを出て行ったけど、あとでFacebookを見たら、氷点下予報の杓子山を気にしてA8二十曲峠に向かい、中止の決定後にスイーパーのスイーパーをするために杓子山に登り、ボランティアのみんなに終了を告げて安全に下山させる事をやってのけたんだ。素晴らしいな。石川さんが来てくれたらみんなほっとすると思うよ。もう助かったんだってね。僕もそう思ったしね。本当に寒い一日だった。

関門ギリギリアウトで到着したA3本栖湖エイドでは、またしてもゆば丼などの暖かいものは売り切れで、あるのはパンとバナナとオレンジだけ。またか。しかもコーラもない。もうパンは食べられないから、オレンジ3切れと、暖かい味噌汁を頂いた。ああ、今回はおもてなし料理、つまり和食に一度もありつけなかった。パンはもういいよ、パンは。しかも菓子パンは好きじゃない。本当に残念。せめて塩むすびでもあればなあ。期待していただけに落胆が大きいけど、仕方ない。和食にあり付きたかったらもっと良い大会が他にたくさんあるからね。トレニックワールドさんの大会(彩の国100mile、外秩父、おごとき、など)とか、上州武尊山とか、地元名物の和食がおかわりし放題。僕はそういう食べ物充実系のレースが好き。マラソンも同様。たぶん、走る事よりも食べる事の方が好きな人間なんだね。

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竜ヶ岳と富士山

回収バスはマイクロバスでピストンしてくれるという。25人程度の乗車で、7時頃から順次やってくるとの事。泥だらけの中、回収をありがとうございます。乗り込んでほっとして本栖湖湖畔を疾走するバスの車窓から見えたのは、今まで一度も姿を見せなかった富士山。頭だけちょっと出している。もうちょっと早く出てくれてもよかったのになぁ。

その後、A4精進湖民宿村を出てロードを疾走する先行者達を眺めながら、いいなぁと思うと同時に、辛そうだなぁ、僕はロードはもう走りたくないなぁ、などと、もう選択権がなくなったのにぶつぶつ考えていた。でもやっぱりA5勝山までは行きたかったな。ここでは会社のトレラン部仲間が看護師ボランティアをしていて、僕の一番のエネルギー補給食である”井村屋謹製つぶあんトッピングチューブ”などを補給してくれるはずだった。そしてそれを糧に、A9吉田うどんまでたどり着き、最後の霜山を元気に余力を残して走りきる戦略だった。それが、2つも手前でわずかに5分間に合わずに関門アウトになるなんて。これだけ渋滞したのに関門の延長もないなんて。

いろんな思いがこみ上げてきたけども、夕方になり、A8二十曲で中止との発表を聞いたとき、A2、A3あたりで関門を伸ばしていたら、さらに回収バスが大変になっていただろうなと思い、腹落ちした。下界でも最低気温予報は氷点下-1度で、風速と標高を考慮すると氷点下-5度~-10度ぐらいになるだろうから、そのまま続行はあり得なかった事は、ある程度想像していた。走っている時は絶対完走!と思っていたけど、仮にその先に進んでいたとしても、この寒さではリタイヤを申告していたのではなかろうか。

さらに今回2,400人に倍増だから、渋滞もひどかったけど、回収バスはもっとひどかっただろうと想像できる。ゴールが100人強と言われているから、おそらく2,000人以上の人がA5~A9エイドから回収が必要だったと思う。暖かいうちに河口湖に帰還できて、温泉につかり、ビールを飲んで、富士山の絶景を写真に収められ、まったりと観戦できた僕は、一番の幸せ者だったと今は理解している。いやー、実にラッキーだったんだね。


回収後の河口湖畔での続きは、下記からどうぞ。

 

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富士山の西側を約3分の1周しました

最後に、共に走った2,400人のみなさん、お疲れ様でした。UTMBなどでしか見たことがない積雪のレースを走り、得難い貴重な体験でしたね。また、現地やネット上で応援してくださったすべてのみなさんに感謝申し上げます。エイドスタッフ、マーシャル、スイーパー、看護師、医師の皆さん、寒い中本当にありがとうございました。

リタイヤ後、僕はもうUTMFなんか出ないよ!寒いし、富士山見えないし、エイドに和食ないし、あんなに渋滞があったのに関門延長もなく、たった66kmで足切りかよ!と興奮していました。一緒に回収された大阪のおばちゃんも、「こんなんまた出るん?参加料高いし、食べ物は少ないし、ありえへんわ!」とまくし立てていましたが、まさにそういう気分でした。
でも、1日寝たら、また出たときには最初から突っ込んで渋滞を回避し、和食が残っている時間にエイドを通過して元気を充填し、積雪になる前に駆け抜けたいなぁ、などという妄想を始めていました。そして来年エントリーに必要な今年中の1レース完走をするために、また明日からトレーニングを再開する事を決めました。そして最初から突っ込む力が弱いので、スタートダッシュしても後半走れるようになるよう研究します。

来年も絶対に出場してリベンジし、初100mile完走を目指します!

 

2019/5/19追記

こちらの動作、ほぼ最後尾を走っていた私の目線に近く、渋滞や降雪も映っているのでぜひ見てください!
by KT Trail Channel

 UTMFに関連する私の記事はこちらからどうぞ。