秩父鉄道三峰口駅からバスを使わずに三峰神社へ行きたい
以前、三峯神社から三峰口駅へ国道140号を走って行った事があるが、道が非常に狭く、その道を、路線バスでさえ急停止するぐらいにはみ出して運転するトラックが沢山走ってくる、大変危険な道。
どこか代替する道はないものか。探ってみると、どうもこの荒川沿いの国道140号の崖の上に「旧三峰街道」という昔の道があるらしい。街道。この響きが好きです。街道好きのたりぃさんにはどんな道か気になります。昔、三峯神社に参拝する人々が通ったであろう道。これは自分の目と足で確かめるしかありませんね!
さて旧三峰街道のルートはどこか
三峰街道が当時どこにあったのか詳しい事はあまりわかりませんが、扇状地の扇頂である現在の秩父鉄道終点駅の三峰口駅あたりから、表参道の入り口である大輪(おおわ)まで、荒川沿いの地形に沿って現在の国道140号沿いの崖を通った事が推測されます。GoogleMapで見ても登山道ルートのためか載っておらず詳しくはわかりませんが、途中に街道にありがちな隧道や神社が点在しているようです。
今回は、スーパー地形アプリの国土地理院地図の登山道点線ルートを頼りに進んでみました。
なお、秩父から甲州に至る道は「秩父往還」と呼ばれ、江戸時代には重要な道であったとのことですが、当時の人や馬車が走ったと思われる雁坂嶺を超える道は今では人々の記憶からなくなり、現在は全線国道140号として整備されていて、雁坂トンネルの完成により全線で車が通行できるようになっていますいる。
現在の表参道の入り口である大輪のあたりを通る国道140号は秩父往還と表記されていますが、国道が通る前までは秩父盆地の扇頂である強石あたりから「杉の峠」に登り、現在の「道の駅大滝温泉」近くに通っていたといわれています。その下に今トンネル工事が行われていて、それが開通した暁には、このあたりの国道も通る人が少なくなると思われます。もっともそれまで待てませんので実走してみます。
走行の記録
Yamarecoの記録
Yamareco記録では、三峰口駅から表参道を経由して三峰神社まで登り、奥宮手前の鳥居まで行って裏参道で帰ってきた全体の記録です。ルート詳細などは下記のリンクから参照ください。
旧三峰街道実走詳細
三峰口駅前からこれから通るであろう山を望む。正面は杉の峠のあたりと思われます。
案内版にこの先の旧三峰街道の事は何も書いてないです。
白川橋からバンジージャンプの発射台が見えます。なお、橋の手前を左折すると裏道を行けるので国道を回避できますが、この日は通行止めと書いてあったので試しに国道を進みましたが、おそらく歩行者は通れるので裏道をお勧めします。国道は途中で歩道がなくなります。
強石(こわいし)の集落を過ぎて最初の水力発電パイプの横の階段を登りますが、登らなくても行けます。少し車道を行くと歩道になり、蜘蛛の巣地獄の道が続きます。
しばらく行くと再び国道に降ろされますが、国道へ下る手前の右側の崩れた崖の上に、道がありそうな感じだったので斜面を登ってみるとピンクリボンがあり、平な道が見つかるので進みます。
すぐに滝つぼに降ろされ、正面に見える細い滝の左横に細いはしごがありますが、相当急勾配です。その方向だとどう見てみても山の上に進むコースなので違いますねぇ。
地形を見渡して見ると、左手にあるこちらの崖沿いが地形的には正解ですが、とりつきがわかりにくいです。少し降ってみると、
このような道を通した感じの斜面が見えるので、取り付いてトラバースしていくと上に出られます。足場は見た目よりはしっかりしていますが、どうも比較的最近崩れた土砂が道を覆っていて、そのままになっているようですね。通る人が極めて少ない感じがします。
崖の上に出ると藪道で踏み跡がとても薄くなりますが、なるべく崖の左側の方に行くと道らしくなってきます。
国道らしき道が下の方に見えるところまで出ました。ここからは比較的快適です。
途中に石碑(お墓?)もあったりして、少し街道らしくなってきました。
もう一つ小さな沢を渡ると、立派な道標がある道に出ます。今通ってきたところは「山道」のようです。「山道」の道しるべは初めて見ました。整備していないけど、道としては認定されているようです。また、この下の国道からこの道標までは「強石~大輪ハイキングコース入口」から上がって来れるようです。実走していませんが、ここから登る方が絶対楽ですね。
ここから先は美しい切通の道。道幅も広くて快適。
いったん車道に出ます。
少し下るとすぐ右手にトレイル入り口。整備されていますね。
遊歩道として整備されているので、崖っぷちのところには一応ロープがありました。花も咲いていて素晴らしい道です。
途中、崩れているところがありましたが、しっかり橋が付けられていて通れます。
少し登りになってきました。
岩肌が多くなってきました。 この先の岩は「馬頭尊」とのこと、ここが馬車の往来した道である事を示していますね。
すると突然目の前にせり出した巨大な岩肌がドーンと目の前に現れました!!!これはちょっと巨大すぎてびっくり。オーバーハングがすごい圧迫感です!
すごいトンネル!手掘り!!
ここはGoogleMapにも載っていた「大達原(おおだはら)手掘りの隧道」のようです。明治後期に掘られたとのこと。その昔はあの崖の上の方に「左三峯道」と呼ばれる道があったそうな。少し探してみましたが、どこが入口かはわからなかったです。
この手掘りは非常に美しいアーチで、しかも岩肌が結構細かく彫り込まれていて、怖いというよりも美しさに見入ってしまいました。距離が短いからか、ジメジメしておらず、コウモリがいる気配もありませんでした。
とは言え薄暗くてやはり怖いので小走りで出口へ向かうが、美しい出口風景に思わずパシャリ。とても美しいですが、さすがに夜は怖そうだな、とちょっと思いました。
出口が近くなると三峯神社に向かう山々がドーンと見えてきます!
出ると崖に突き当たり、秩父の山々の絶景が見渡せます。すごい崖に道をつくったもんですね。
ここから先は、馬車道っぽい幅の、ゆったりした下りです。
実に気持ちのいい下り道ですねぇ。
石垣が残る道。昔、館があったのかな。
集落まで降りてくると、また「山道」の看板が。上に向かっていたから、もしかしたらここが「左三峰道」につながっていたりするかも?不明ですが、今回はそのまま直進して集落へ進みます。
江戸時代、重要な街道であった事をしのばせる「高札場」がありました。
道端にある美しい神楽殿。きわめて保存状態が良いように見えます。最初、小さいので能舞台かと勘違いしました。
向かいにある稲荷神社と鳥居。
この先は快適な林道です。少し下ると右手に看板があります。
左にある階段を下ると大輪へ降りて表参道に行くようですが、まっすぐ行くと「裏参道」と書いてあります。裏参道行けるんだ。。。(興味津々です!)
表参道の入り口である一の鳥居前に到着。現在の大輪バス停があるところです。この鳥居の少し先には、2007年までロープウェイが三峰神社まで通っており、大輪駅があったそうです。ここまで鉄道がとおっていたら良かったと思いますが、この崖では建設が難しかった事でしょう。
これで旧三峰街道の紹介は終わりです。この先、表参道を登り、奥宮の鳥居で折り返して裏参道経由で再びここに帰ってきましたが、興味のある方はヤマレコの記録の方を参照ください。