たりぃさんの山旅

山旅を愛するたりぃさんが超軽量の道具とデジタルガジェットを使って奥深い山域を旅します

飯豊山リベンジ縦走登山(川入から門内小屋経由で飯豊山荘へ(3Days/35.8km/18.4h/3,119mUP)

お盆の前に再び飯豊山に行ってきました!8月9日~11日の2泊3日の縦走キャンプ登山です。

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今回は、7月の3連休で果たせなかった、雪渓が残る素晴らしい稜線を眺めるために計画するも、台風が来る予報と睨めっこしながらの、ハラハラドキドキ、低山登山に変更かなあと心配していましたが、直前になって快晴の予報となり、いざ決行する事にしました。 

7月の山行き日記はこちら。

 今回も息子と行く予定でしたが、テニスの合宿のため欠席に。中学生にもなるとだんだんと部活とか友達と出かける機会が増えますよね。高校に行けばなおさら。もう息子とはしばらく行くことがないだろうなと7月に覚悟をしていたけど、今回、本当にそうなってみたら、結構寂しいものがありますね。

しかしながら、今回はソロキャンプ登山の2回目(1回目は雲取山1泊2日)、さらに2泊3日でのワンウェイ縦走登山は初めての体験です。実にワクワクしますね!

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前日は会津若松市で仕事。サクサク仕事を終わらせて、いつもの居酒屋へ。ところが本日貸切と看板が出ていて、あちゃーと思ったのですが、マスターに聞くとバイトが急遽休みになったから対応できないから致し方なくとの事、料理は待つから問題ないよ、と伝えてカウンターでゆっくり頂きました。

明日の縦走登山に向けて良質のタンパク質と液体の炭水化物を摂取します。赤べこグラスがかわいい。

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今日は暑かったので、すっきり辛口のこちらを頂きました。昔ながらの辛口に現代風の旨さをプラスした、とても素敵な味です。ザ・辛口。懐かしい日本酒。マスター、仕入れから品ぞろえから説明まで自分でやりたがりで、蘊蓄が聞きたい僕が行くと、ニコニコして新しく仕入れたお酒を持ってきてくれます。飯豊山談義も加わって盛り上がってしまい、座敷のお客用の皿が遅いと、厨房より怒られていました(笑)

その度に私が、早く座敷用の皿出してきてと促すという。楽しいマスター、年上だと思っていたら6つも年が下だった(笑)

閑話休題。なんのブログでしたっけ?(笑)

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翌日、会津若松駅から磐越西線に乗車し喜多方駅に到着。これは停車するディーゼル車を撮影した、わけではなく、階段の文字です。そこには「階段があって申訳ございません。」と書いてあります。申し訳ございません、は、I'm sorryで、謝っていると昔は理解していたが、最近は、単なる挨拶程度に思うようにしています。そうしないと、意味が分からないです。「階段があります」が事実で、「申し訳ございません」は「ごきげんよう」ぐらいの意味なのです、きっと。
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喜多方駅を過ぎてもうすぐ山都駅です。3日前ぐらいまでは雨予報だったから、こんなに快晴になっちゃって、なんて晴れ男なんでしょうか、僕(笑)自称95%晴れ男です。

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山都駅で下車し、飯豊山へのアクセスバスで揺られる事小一時間。すでに猛暑の中、9:26に川入をスタート。清流の横のロードを歩く。実に綺麗な水ですねえ。

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登山口に差し掛かるけれども、もうすでに汗だくだく。先が思いやられます。暑さは苦手~。気温32度は超えてます。すでに暑いので、河原で水浴び。先が思いやられます。
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さて、暑い十五里をなんとか超え、2回目の剣が峰。何度来てもすごい見た目ですが、とりつく岩をほとんど覚えているので、実に楽で楽しい登りでした。しかし、ガスがだいぶ出てきました。ああ、今回も天気悪いのかな~。
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それにしても暑く、ドライレイヤーで吸い上げた汗がTシャツでは吸いきれず、乾かず、半パンに落ちてくるもんだから、半パンまで半分濡れまくりました。走っていないのにこんなに汗だくになるのは初めてです~。暑すぎる!!!

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しかし、剣が峰を超えて三国小屋から切合小屋へ向かう尾根筋を歩いていると、晴れてきて雪渓が残る飯豊連峰が姿を現した!!!思わずうひょー!と叫ぶ。これが見たくて飯豊連峰に登ってきたんだよな~(^O^)
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7月には盛大な雪渓が残っていた切合小屋前の雪渓は、こんなに小さくなり、夏の風景になっていました。しかし、その分暑い。実に暑い。

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切合小屋に14:44に到着。まだ15時前。6:18で走破。コースタイム7:30なので85%で来た。暑くてヘロヘロだったけどソロだと自分のペースでもくもくと登るので少し速い。それにカップラーメン作らず、行動食だけで登ってきたから。さて、テント場もあまりに暑いので、ツエルトをサクッと設営して日陰を作り、キンキンに冷えている800円のビールを購入してプシュー!!!うますぎます。山ビール最高!!!
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日差しを避けようとすると必然的に横になるしかないわけなので、寝っ転がって飯豊本山を見ながら雲の鑑賞。今日は風速があるので、飯豊山から雲がわき出て来るように見えて面白い。ビデオ撮ればよかった。でも写真でも伝わるでしょ?

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綿菓子風の雲も次々出来て飛んでいく。
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うちわの骨組のような放射線状にできていく雲。結局2時間ぐらい雲を鑑賞。形は100種類を超えるぐらいあり、芸術的作品ばかりだった。実に静かで充実した時間を過ごしました。ソロキャンプも素敵だ。
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さて、ビールを1本買い足して、本日の夕食、アマノフーズ 親子丼!これはですね、アルファ米でも大変おいしく頂けるダシの聞いたふわふわ卵の親子丼なんです。それがお湯を注いでかき混ぜるだけで出来上がり!!これにGSIアウトドアのスパイスミサイルから、一味唐辛子花椒パウダー、ガーリック顆粒とドライパクチーを振りかければスパイシー親子丼が完成!疲れた身体に染みわたる和食。最高です!!!

☟親子丼を含む軽量食料のおススメはこちらの記事を参照ください!ベスト5紹介してます。

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ご飯を食べ終わると、ちょうど飯豊本山と大日岳の間に日が沈むところ。雲と山と夕日のコラボが美しすぎて、いつまでも眺めていられる眺め。結局日が沈むまで写真を撮ってお天道さんを見送りました。私はピークハントよりも尾根縦走が好きなので大日岳には立ち寄らない予定でしたが、この風景を見てしまったので、明日は大日岳にも登ろうと思いました。

 

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次の日の朝、東の空から日が登ります。雲が多く、ご来光ははっきり見えなかったけど、今日は晴れ予報で、雪渓の稜線の風景が実に楽しみです。
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朝ごはんは、.:ULTRA LUNCH:.ビバークレーション・トマトキック味と、マルちゃん 朝の満足スープ 豆と雑穀。アルコール燃料が少なくてお湯が煮立たなかったけど、まあいいかとお湯を注いでみました。ビバークレーションは良く溶けて2分で十分戻りましたが、豆と雑穀スープが全然溶けず、難儀しました。3分ぐらいスプーンで押してつぶしていましたが、かなりの時間がロスし冷めてしまった。キャンプには向きませんね。味はおいしいんだけどね。これ、豆がゴロゴロ出てきて実においしいんですよ。お気に入りのスープではありますが、山の上ではやはりわかめスープがごめ昆布入りが最強かも。

スターバックスVIA インスタントコーヒー (Pike Place Roastは、ストレートで飲むならかなり良いですね。香りも強いし、味わいも豊か。バランスの取れた味です。朝1番に飲むコーヒーはやはり格別ですね!
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切合小屋を5:43に出発。さっそく雪渓のある道を登ります。7月に来た時は延々と雪渓を歩いたけど、今回はここの一部だけ雪渓を歩き、あとは普通の登山道でした。快晴で見通しが良く、今回は恐怖をほとんど感じる事なく歩けました。

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そして雪渓を登り切った先には!!!ご覧の楽園が広がっていました!!!咲き誇る高山植物、大量の万年雪が残るどこまでも続く稜線、稜線に覆いかぶさる雲、真っ青な空。まるで絵にかいたような風景がどこまでも広がります!飯豊はいいでー!!と良く言われるこのフレーズですが、この景色を見て、それを実感しました。来てよかった〜。
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どこまでも続く稜線の後ろにも、いくつもの稜線が出て来るのが飯豊連峰の特徴。このスケールで360度どこまでも続く。終わりは見えない。無限。無限が大好きな僕にはたまらない景色!!!

 風景 × ∞ = 僕 x 人生!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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難所の御秘所も素晴らしい絶景。絶景の方が切れ落ちている下の方が見えて怖かった。でも一度来ているから足の置き場がより確実にわかり、難なく通過しました。

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飯豊本山の少し手前、右手に見えるこれがあのダイグラ尾根です。大嵓尾根と書くらしい。看板にそう書いてありました。難所であって登山道は破線になっているところですが、上から見ただけでも、3次元的に全て崖の岩場道。しかも切れ落ちている。コースタイム9:30、水場やエスケープルートなし。いやー、きついね。こんなの登る人いるのかね(笑)

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尾西小屋あたりの快適すぎるトレイル。このあたりは日陰がなくて暑かったんですが、あまりに気持ちの良い景色と極上のトレイルを前にして、思わず走ってしまいました。頬で感じる風が倍程度の速度になるから、その分だけ放射冷却の効率も上がって非常に心地の良い風となって頬をかすめていく。この感覚が大好きでトレイルランをやっていると言っても過言ではない。そしてこの絶景。もう、言葉がありません。うひょー!

今回はベース重量3.9kgの軽量装備で、その上、固形物のおにぎりを食べ切って、乾物も燃料も少し減ったので、更に軽くなり、これだと走る事も可能であることがわかりました。でも今回は暑すぎて水の消費が激しく不安なので、はやあし程度に抑えて行く事にしました。それでも2Lも持って行った水は、尾西小屋手前で空寸前に。すかさず水場で水を補給。切合の小屋番さんによると2日前はもっと暑かったそうで、熱中症で搬送される人や引き返す人が続出したとか。これでもマシになったと言われましたが、経験した事がない暑さに、かなりヘトヘトであった事は間違いないのですが、絶景が素晴らしいし、冷たい水も補給できたので進む事にしました。

その後、奥に見える大日岳に9:23に登頂するも、その時はガスがすごくて眺望はありませんでした。そして最高峰2,128mの割に暑い。これが、後で心配の種になるとは、あまり思っていなかったのですが、とにかく暑かった。

ここまで3:40。コースタイム6:10なので約55%。気持ち良すぎてちょっと飛ばしすぎたけどこの時はちゃんと計算しなかったのが失敗だった。

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10:19にガスガスの大日岳から尾西小屋へ戻ると超快晴。結構消耗したので、カップラーメンをほおばる事にした。日清 お椀で食べるどん兵衛は、具が入っている上に、お湯を注げば1分で食べられる優れものです。これを2袋ジップロック スクリューロック473mlに入れると普通のカップラーメンとほぼ同じ量になります。これに更に九州産野菜 味噌汁の具  乾燥野菜(キャベツと人参と小松菜とわかめ入り)と、おだしが効いたきざみあげと、いつものスパイスミサイルタワーから、一味唐辛子とゆずの皮パウダーを振りかけて、特製和風うどんの出来上がり!暑くて疲れた体に染みわたります!!!

スーパーでもお椀で食べる袋めんシリーズは売っていますが、まとめてAmazonでも買えます。最近種類が増えて、ゆず香る鯛だしおそうめんも和風だしスープでとてもおいしい味なので超おススメです!!(2020/2/9追記)

↓これとか、3 x 9 = 27食も届くのでクリックしてはいけません(^^;誰が買うんだろう。

カップラーメンで腹ごしらえした後は、快適に稜線を歩き、梅花皮小屋を目指す。しかし、ご覧のように日差しを遮るものがほとんどないため、景色は最高だが、暑くて水をどんどん消費する。と、ザックの中のリザーバーの水が吸えないようになる。え?1.5Lも入れてきたのに水切れ?ラーメンで0.3L使ったけど、まだあると思っていた。そしてフロントリザーバーの残りは0.4L程度。うーん、持つかな。梅花皮小屋まで水場はないはずだ。これはうっかりしていた。だからリアのリザーバーは好きじゃないんだよなぁ、とか思っても後の祭り。

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これまでの経験からこの暑さだと0.4Lで行くのは無理っぽい。引き返そうかな、と考え始めていた時、雪渓渡りがあった。ああ、そうだ。ここに雪が大量にあるじゃないか。うひょー!汚いけど、ほじくり返して綺麗な雪をペットボトルで掻き込んでみたら、綺麗にサクサクと入るじゃないですか。これでお水ゲット!!!しかもキンキンに冷えてます!最高です!!!(^◇^) 

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一瞬氷水で生き返って歩いた後は、ガスが新潟県側から容赦なく吹き付けてきて、一転寒くなるという天候急変の中、かなりモチベーションが落ちてトボトボと歩いていたら、前から見覚えのある小柄な人が。あら!東北の虎こと、アミルさんじゃないですか!今日山形県側から登るって聞いていたからすれ違えるかな~と思っていたら、軽々と登ってきました!聞けば、このまま切合まで縦走し、別の山形県登山口の大日杉まで下り(!)一泊、翌日、別の友人と合流して再び飯豊連峰に登って縦走し、下山するという。ええ!何それ?私が3日かけて走破する道を2日で往復?!それって6倍速?!さすが、世界のアミルさんはレベルが違います!再びものすごく刺激を受けました!

僕がアミルさんと話すのは2回目。1回目は彩の国100mileレースで優勝した時、South2週目に入るアミルさんを、エイドスタッフとして送り出したとき。この伝説の完走者0人のレースの第2回において、最後の周回に進んだ20人余りの猛者の中で、ただ一人だけ笑顔だったことを鮮明に覚えている。今日はその時の笑顔と同じだった。この人は普段から山を楽しんで歩いているからこそ、辛いはずのレースでも楽しむ事ができているんだ。普段から楽しむ事。これ、仕事でも受験でもトレランレースでも、最も大事な事です。好きこそものの上手なりです。僕が小学生のころからそうだと確信していた事実。今でも変わらない。そして今日、その思いを更に強固なものにする出会いだった。トレランレースのボランティアスタッフとして参加したり、試走会に行ったりすると、そのような出会いが多いから好きだ。これからも積極的にボランティアをしたいと強く思う。そこから得られる、未知の体験。それは僕をまだまだ成長させてくれるモチベーションになる。はっきり言って大学に行くよりも刺激を受ける事が多い。会社で仕事をしていると、どうしても会社の人間と話をする事が比重として多くなる。そうすると科学的学問分野が広がる事があまりなくなってしまう。もちろん社会人で大学に行く事や、異業種交流会や、勉強会に行く事も非常に大事な事だと思っているが、更に、まったく異次元の、異業種の、仕事や興味範囲で出会えないような圧倒的な心身パフォーマンスを発揮する人達と接する機会が、トレイルランに出るとたくさん生まれる。世界で戦うアスリートの考えている事、行動している事に共感して、疑似体験できるのだ。それは世界を相手にICTで先陣を切ろうとしている僕にも大いに役に立つ。異なる科学的分野が融合した時こそ破壊的イノベーションが生まれるのだ。そのためにも、学際的学問と、異分野の科学の圧倒的な体験をする事が重要なのだ。そして40代になってもウルトラトレイルでは戦えて、ゴールして、祝福されるという体験。それをベースに縦走登山も軽々と出来てしまうという事実。今日を境に、僕はますますウルトラトレイルにのめりこんでしまう事は間違いない。

この後、流れて暴れまわる雲を眺めながら、雪渓の前でしばらく雲談義をして、竜だとか綿菓子みたいだとか子供のような会話を楽しんだ後、お互いの無事を伝えてお別れしました。そしてアミルさんのアンドラトレイル入賞を期待している事を柔らかく伝えて別れました。雲談義楽しかったっす!アミルさんと友人のsugaさん、お付き合いありがとう。

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僕も刺激をもらって十分に休憩できたから、その後、ガスガスの梅花皮岳を登頂し、ご覧のガスの中の北俣岳を超えて門内小屋へ14:17到着。コースタイム4:54のところ5:20。水不足でゆっくり来た割にはまあまあ速かったかな。

風が強すぎてテント泊は無理だなと直感したけど、テントサイトは山のかげだから風は来ないよ、という小屋番さんを信じてツエルトを張ってみるも、軽量化のため12cmちょっとの軽量ペグ6本しか持ってこなかったため、張り終わって強風にあおられたらペグが1本、2本と抜けてしまう。石で止めてみるも、バタバタ風が来ると石がゴロゴロ動く。これは無理と判断し、ツェルトをグルグル丸めて避難小屋へ文字通り避難。人生初の避難小屋泊となりました。

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このような小ぎれいな避難小屋の中には、6人ほどの男性しかおらず、皆さん山慣れしている感じであったけど、その中でも一番黒くて体幹の良いおじさんの隣にマットを置かせていただき、避難小屋の使い方とか、火器を使う場所などをいろいろ質問して、丁寧に教えてもらう。

ものすごく経験豊富な方でしたが、実はこの方は只者ではなかった。地元が山形市で同郷出身だったのですぐに意気投合したのだけれども、南高登山部出身で有名人だったらしく、冬の雁戸山から山形神室を経て面白山まで縦走した事がなんどもあるそう。そこは私の故郷の裏山を登って行った先にある奥羽山脈の稜線ですが、一般登山者は行かないハードな道。ましてや冬に行く人の話は聞いたことがない。それを高校生の時に登ったとは恐れ入りました。今日は会社のセンパイを飯豊山に連れて、新潟から75Lザックを背負って来たそうで、鍋を持ち、平牧の豚肉味噌漬けや豚汁を作ってセンパイにサーブしており、泡盛の1Lパックも背負ってきたそうで、おこぼれを頂きました。山で泡盛、初体験でしたが最高です。

彼の75Lザックに対して、私は30Lザックで3.9kgです、と言ったら、それはそれで大変驚かれていました。トレランのグッズの事を一通り説明したら、プロ級の登山家から見ても魅力的なものが多いようです。特に気に入られていたのが、SOL Escape Lite viviですね。これはカサカサ音がせずリユースできて超軽量超小型で防水透湿。そして暖かい。シュラフシュラフカバーとインナーシュラフが全て不要になってしまう驚異的な製品です。お互いにいい刺激を受けました。次ははやりテッパンを持ってきたいな。そう強く思いました。平牧のステーキに勝つにはテッパンしかありません(笑)

☟3.9kgを達成するために私が使っている軽量キャンプ登山装備の参考記事はこちらからどうぞ。

☟軽量化のためのトレイルランニングでの知見を活かした軽量な行動食はこちらからどうぞ。 

私が愛用するジップロック スクリューロック473mlですが、これでラーメンを作っていたところ、隅で料理されていた方が、なんとジップロックの袋でラーメンを作られていた!ジップロックはやはり最強の山道具ですねぇという話で盛り上がったこの御仁は、昨日、あのダイグラ尾根でソロで登ってきたらしく、超大変だったとおっしゃっていましたが、話している顔はニコニコ。すごいなぁとFacebookの交換したら、あとでなんと本物の南極隊員だということを知りました。恐れ入りました。

このように、ガチな人しかいない飯豊連峰の楽しい避難小屋は日没とともに皆就寝し、結局ヘッドライトを一度も使わずに過ごしたのでした。ビュービュー風の音がしますが、テントが倒れる心配もないので、そこそこ眠れました。でも、さすがにEscape LIte vivi + フリースベスト+雨具だけで寝ているので、朝方は少し寒かったです。Escape Lite viviを顔の上まで被って寝ました。

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次の日、風はすっかり止んでいました。そこで見たものは、これまで何度も雲海から登る太陽を見てきましたが、こんなに壮大なスケールで見たことがない日の出の姿がそこにはありました。

この太陽が昇ってきているのは蔵王連峰の主峰、熊野岳の真横だそうで、そこから登ってきた太陽が飯豊連峰を初め、朝日連峰から月山までを雲海の海原の上から照らしているという見たこともない絶景でした。空気が澄んでいる時は鳥海山まで見えるという。すごいよ、山形県。すごいよ地球。地球の丸さと、太陽のありがたさを全身に感じる。なんて暖かいんだろう。

この風景と似ている風景は、あの風の谷のナウシカメーヴェに乗って地平線に向かって飛んでいくアニメの風景でしか見たことがない。この雲海の下には、王蟲が走っているし、死海が広がっているんだ。この雲を歩いていけば蔵王権現にたどり着ける。天狗様は早朝に雲海が出ている間にあそこまで駆けて行くんだ。

そんな事が本当であるかのような風景、風の音、雲の動き、お天道様の力。どんな感覚を得ようが、どんな自由な発想をしようが、何を思い出そうと自由。

どれがどの山か、まったく知らなかったけど、周りの玄人おじさんがみんな教えてくれました。ここは山が深すぎて携帯電波がたまにしか入らないですから、こういうときは人間の知識頼みですね。

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雲海は、山間に蓋をするようにたなびいているが、これは、左側の飯豊連峰の先にある朳差岳の先から、新潟側からやってきた雲が小国町に流れ込む事でぴったり蓋がされるそうで、それを利用して航空機から発見されにくいため兵器の元となる金属工場が設置されていたんだとか。地理学をこよなく愛するたりぃさんには、目から鱗の知識でした。こちらも何度も飯豊に来られているセンパイに教えていただきました。避難小屋最高ですね。病みつきになりました!

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朝ごはんは、ULTRA LUNCHのビバークレーション・トマトキック味。それに海苔のスープとSTARBUCKS VIAコーヒー。お湯を沸かして5分、注いでかき混ぜて2分で全て出来上がり。暖かいうちに頂いて元気いっぱい。このセットは暖かくておいしい朝ごはんを愛する人におすすめします。特に、沸かし直しが難しいアルコールバーナーや固形バーナーを使用するFastPackerには最適です。
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3日目は超快晴!ものすごい青空となりました。来てよかった~。小屋直下にある雪渓の水場にたっぷりの水を汲みに行き、6:06に門内小屋を出発。少し離れたところから見ると、連峰と青空に映える美しい門内小屋。また来たいな。
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今日は快晴だけど、早朝からもう暑い。でも、稜線直下には雪渓がところどころに残っていて、時折涼しい風を送ってくれます。それにしてもこんなに気持ちが良い稜線歩きは初めて!ほんとに快晴で良かった!

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 今回の下山ルート、梶川峰への尾根を右折して稜線を歩くと、お花畑が広がる湿原の先に、昨日たどってきた稜線が見渡せる。実に素敵な稜線。何度も何度も振り返っては眺めた。

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しかし、梶川峰を過ぎると、徐々に斜度がきつくなり、最後は、ご覧の根っこが連続する崖を降りるレベルに。しかも両端切れ落ちている。ここは、踏み外したら下まで落ちます。それが数時間も続く。気を抜かず一歩一歩確実に、仮に滑っても踏み替えるところまで考えて足を置く。トレイルランニングのレースでも、ここまで集中して下り続ける事は稀だろう。こんなに軽い装備でもこれだから、一般のテント泊者ならもっと大変だ。しかも暑くて水の減りが早い。下りなのに。

更に、このレベルの急斜面の登り返しが2回ほどやってくる。下りで神経を使ったから気分的には楽なのだが、いかんせんパワーを奪われる。おなかが減る。ジェルを掻き込んで休みを入れながら進む。もうすぐだ。立ち止まっても前には進めない。

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9:24に登山口へ到着。3:18。コースタイム5:10なので63%程度。下りはかなり得意な方ですが、危険個所、ザレ場、根っこ、岩場、ドロップオフ、崩落、の連続で、かなり疲れました。

この後、門内小屋で一緒だった南極隊員の彼とピッタリ合流。彼は門内小屋を30分ほど僕より早く出発して、梶川峰の一つ先の丸森尾根を下ってきた。そちらもそこそこ大変だったようだ。でも登り返しはなかったそう。どっちが楽なのか、今度試してみたい気がした。

小国小屋からのバスの時間は午後13時過ぎだったのでまだ4時間ぐらいあり、彼に車で乗せて行ってもらう事になりました。ありがたやありがたや。飯豊山荘でお風呂に入る際も、1万円札しかない私に現金を貸してもらい、後から風呂にやってきた、山都駅のバスから一緒だった若者も合流して、米沢駅まで送ってもらいました。感謝感謝。車はルノー・デカングーだったから、実に快適な山道ドライブを楽しむ事ができた。

そこから山形駅まで鈍行に乗って小一時間。おかげさまで中学校同窓会の2次会から合流かな~と言っていたのが、1次会の途中に間に合い、恩師にも久々に会う事ができ、おいしい寿司屋のお座敷料理も、急遽欠席メンバの分が余っているからと大量に頂きました。さっき飯豊山から下ってきたよって言ったらみんな驚いていましたね。まあ、山形県に住んでいてもみんな登山するとは限りませんからね。

そして2次会はカラオケで、洋楽、懐メロ、若者ソングを熱唱し、3次会では同級生の奥さんも合流して居酒屋へ。懐かしい話と近況の話で夜は更けていきました。実に楽しいエクストリーム帰省でした!

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今回2泊3日の山行きだったから、ソーラー充電器を持っていきザックに括り付けて行動中に充電してみました。結果としては、2日目快晴ではなかった事もありますが、約 8時間充電して、約半分の充電(iPhone50%分)というレベルでした。やはり、快晴で、かつベースキャンプに固定設置の場合に比べると半分程度の充電となりましたが、まあ、仕方ないですね。

ソーラー充電器の話は詳しく書いた下記の記事を参照ください。この時は、ツェルトに吊るしてベースキャンプ地で一日充電してみました。

いやあ、実に楽しかったです。飯豊山、もっと早く登ればよかったな~、飯豊山、最高でした。ただ、こんなにハードな山だとは知らなかった事もあり、初~中級者にはお勧めしません。こんなに苦しい山なのに、辛い顔をしている人はただの一人もいません。そういう山でした。しかしドMな方は十二分に楽しめます(笑)是非どうぞ!

最近の新装備は7月の時と同様なので、参考にしてみてください。

 ☟飯豊山に登りたくなった理由はこちら。

☟息子との初キャンプ登山@雲取山はこちら。

☟私のソロ初キャンプ登山@雲取山はこちら。